国内でホテル・リゾートを運営する企業様向けに、LINE公式アカウントと連携したホテル予約システムを開発しました。電話とメールが中心だった予約の受付を、Webの予約管理画面とLINEのチャット予約に置き換えた案件です。この記事では、導入前の課題、MOHAが設計した3つの機能、25人月という規模の読み方を紹介します。あわせて、LINE連携の予約システムを検討する際の確認点もまとめました。

プロジェクト概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 業界 | 宿泊業(ホテル・リゾート) |
| お客様 | 日本国内の宿泊施設様(社名は非公開) |
| 規模 | 25人月 |
| 担当範囲 | 予約管理Webサイト、LINE予約、顧客管理とメッセージ配信の設計・開発 |
| 技術スタック | PHP、Vue.js、AWS、MySQL |
導入前の課題
宿泊業界では、限られた人員で運営しながら、多様になる宿泊客の要望に応えることが求められています。とくに中小規模の施設では、ITを使った業務改善のニーズが高まっていました。今回のお客様も、次の3つの課題を抱えていました。
1つ目は予約受付の手間です。受付は電話とメールが中心で、確認ミスや人手のコストが生じていました。予約情報を一元管理し、スタッフの作業を減らす仕組みが必要でした。
2つ目はスマートフォンでの予約への対応です。情報収集から予約までをスマートフォンで済ませる宿泊客が増えていました。そこで、普段から使われているLINEで、チャットのように予約できる導線を用意したいと考えていました。
3つ目は再訪の促進です。一度きりの宿泊で終わらせず、誕生日クーポンやイベントの案内を宿泊客ごとに送り分けたいというご要望がありました。
MOHAが設計した3つの機能
最初に、予約受付の業務フローと、宿泊客が予約するときの体験の両面から、課題とご要望を伺いました。そのうえで、次の3つを組み合わせたシステムを設計しています。
施設ごとに運用できる予約管理Webサイト
施設ごとの運用方法やブランドに合わせて、オリジナルの予約管理サイトを構築しました。管理画面では、予約の確認、変更、キャンセルがリアルタイムに反映されます。また、LINE公式アカウントとAPIで連携しているため、予約状況の通知やメッセージの配信も自動で行われます。
LINEのチャットで完結する予約
宿泊客は、LINEのチャットに表示される選択肢をタップしていくだけで予約できます。フォームへの入力やメールの送信を省き、10秒以内に予約が終わるように操作を設計しました。この10秒は操作設計上の目標値で、実測の平均値ではありません。
冒頭の画面イメージでは、トーク画面の下部にあるメニューから「簡単予約」を選ぶと、宿泊日を選ぶカレンダーが開きます。メニューには当日予約、予約確認、ショップカードなども並んでいます。予約が終わると自動応答で内容が届くので、宿泊客はその場で予約内容を確かめられます。
顧客データを使ったメッセージ配信
予約情報と顧客データをつなぎ、LINEで対象を絞った配信ができるようにしました。誕生日クーポンやキャンペーンの告知を、一斉配信ではなく宿泊客ごとに送り分けられます。
成果
予約の受付と管理が自動化され、フロント業務の負担が軽くなりました。さらに、LINEの予約導線ができたことで宿泊客との接点が増え、リピート率の向上にもつながっています。
導入前と導入後の業務の違い
| 業務 | 導入前 | 導入後 |
|---|---|---|
| 予約の受付 | 電話とメールでスタッフが受け付ける | 宿泊客がLINEのチャットで予約し、完了すると自動応答で内容が届く |
| 予約情報の管理 | 受付のたびにスタッフが内容を確認する | 確認・変更・キャンセルが管理画面にリアルタイムで反映される |
| 再訪の案内 | 一斉の案内が中心 | 顧客データにもとづき宿泊客ごとに送り分ける |
表のとおり、変わったのは予約の入口だけではありません。予約情報と顧客データが1か所にまとまったことで、受付、確認、再訪の案内までが同じデータの上でつながりました。
25人月という規模の読み方
人月は、1人が1か月働く作業量を1とする単位です。25人月は、たとえば5名が5か月稼働した場合の工数に相当します。ただし同じ25人月でも、少人数で長く進めるか人数を増やして短く終えるかで、期間と体制は変わります。この事例では期間と役割ごとの人数を公開していません。
似た規模の開発をご検討の際は、総工数に加えて、担当範囲に何が含まれているかをご確認ください。本案件の範囲は、予約管理サイト、LINE予約、顧客管理と配信の3つです。既存の予約管理システムとの連携やデータ移行が加わると、工数は増えます。
LINE連携の予約システムを検討するときの確認点
LINEを入口にした予約システムを発注する前に、次の点を社内で整理しておくと、要件定義が進めやすくなります。
予約の入口をどう作るか
トーク画面の下部に表示するメニューは「リッチメニュー」と呼ばれ、Messaging APIで設定できます(LINE Developers「リッチメニューを使う」)。一方で、カレンダーや入力画面のようにWeb画面が必要な部分は、LINEの中でWebアプリを開くLIFFも選択肢になります(LINE Developers「LIFFの概要」)。
予約データの正本をどこに置くか
LINEはあくまで入口です。空室と予約の正本を新しい予約管理サイトに置くのか、既存のシステムに置くのかで、連携の設計が変わります。
配信の量と費用
プッシュメッセージやナローキャストメッセージは、送信対象の人数でメッセージ通数が数えられます。通数の上限は料金プランによって決まります(LINE Developers「メッセージを送信する」)。そのため、誕生日クーポンのような個別配信を増やす前に、月あたりの配信数を見積もっておきます。
顧客データの利用目的
誕生日などの個人情報を配信に使う場合は、個人情報保護法にもとづき、利用目的を特定して本人に通知または公表する必要があります(e-Gov法令検索「個人情報の保護に関する法律」)。予約フォームやプライバシーポリシーの文言も、開発と並行して準備してください。
施設ごとの運用の違い
複数の施設を運営している場合は、画面の見た目や受付ルールを施設単位で変えられるかを確認します。本案件の予約管理サイトは、施設ごとの運用方法とブランドへの対応を前提として設計しました。
関連する事例
MOHAはほかにも、LINEと連携した予約の仕組みを開発しています。

ホテル向けリアルタイム占有状況モニタリングシステムでは、館内に設置したビーコンでレストランやスパの混雑状況を集計しました。宿泊客は2分ごとに更新される情報を見て、LINEからそのまま予約できます。

美容業界向けには、LINEミニアプリと連携したカスタマイズ予約システムを開発しました。自社製品として、美容サロン向け予約管理システム「MOHA Booking System」も提供しています。
ご相談・資料請求
MOHAでは、契約と窓口を横浜の日本法人が担当し、開発をハノイのエンジニアチームが担当します。こうした体制での進め方は、ベトナムオフショア開発(オフショア開発センター)のページで紹介しています。要件定義から一括でご依頼いただく場合は、システム受託開発をご覧ください。
予約システムやLINE連携の開発をご検討中でしたら、お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。ほかの事例は導入事例一覧からご覧いただけます。